新城市会社役員誘拐殺人事件は、2003年4月17日に愛知県新城市で発生した身代金目的の誘拐殺人事件です。被害者は地元の建設会社役員で、当時39歳の男性でした。事件当日、彼は新城市長選挙の公開討論会に参加した後、行方不明となりました。
翌18日朝、被害者の家族に対し、身代金1億円を要求する電話がかかりました。犯人は受け渡し場所を何度も変更し、最終的には東名高速道路から現金を投下するよう指示しましたが、警察の判断で現金投下は行われず、交渉は中断されました。その後、20日午前、隣接する額田町(現・岡崎市)の山中で被害者の遺体が発見されました。
捜査の結果、被害者と同じ新城青年会議所(JC)の会員である飲食会社役員の男性(当時38歳)が浮上しました。彼は事件後、フィリピンへの逃亡を試みましたが、入国を拒否され強制送還されました。逮捕後の供述で、犯行の動機はフィリピンパブで知り合ったホステスとの結婚資金を得るためであったことが明らかになりました。
裁判では、検察側が死刑を求刑しましたが、2005年5月24日、名古屋地方裁判所は無期懲役の判決を言い渡しました。判決では、被告人が被害者を誘い出して自己の支配下に置く行為がなかったことや、被害者が車に乗り込んだ直後に殺害されたことなどから、身代金目的誘拐罪の適用は見送られ、強盗殺人罪と恐喝未遂罪で起訴されました。
この事件は、戦後日本で発生した身代金目的の誘拐事件として259件目であり、被害者が殺害された事件としては34件目とされています。また、成人男性が被害者となった身代金目的の誘拐殺人事件としては、1987年の熊本大学生誘拐殺人事件以来2件目であり、社会人に限れば初のケースでした。
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