東海大学安楽死事件は、1991年4月に東海大学医学部付属病院で発生した、医師による積極的安楽死が問われた事例です。末期がん患者の家族からの強い要請を受け、担当医師が患者に塩化カリウムなどを注射し、死亡させました。
事件の経緯
患者は多発性骨髄腫の末期状態にあり、回復の見込みがないと診断されていました。家族は患者の苦しむ姿を見かねて、医師に対し「早く楽に死なせてやって欲しい」と強く要請しました。これを受けて、担当医師は患者に対し、致死量の薬物を注射し、患者は死亡しました。
裁判と判決
1995年3月28日、横浜地方裁判所はこの医師に対し、殺人罪で懲役2年、執行猶予2年の判決を言い渡しました。この判決の中で、裁判所は積極的安楽死が許容されるための要件を示しました。
安楽死の許容要件
裁判所が示した積極的安楽死の許容要件は以下の通りです:
本件では、患者本人の明示的な意思表示がなかったため、これらの要件を満たさないと判断されました。 立教大学
社会的影響
この事件は、日本における終末期医療や安楽死に関する議論を喚起し、医療現場での倫理的判断や法的枠組みの整備の必要性が再認識される契機となりました。
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